リボソーム50Sサブユニットに結合し作用を示す薬剤を選べ。
正解は①です。
①はマクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシンです。
抗菌薬の系統ごとの特徴的な構造、作用機序を覚えておきましょう。
それぞれの選択肢について、順番に見ていきましょう。
①の選択肢
14員環マクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンです。
マクロライド系は大員環のラクトンに何らかの糖が結合した配糖体を指します。
![クラリスロマイシン](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/08/c2dead5359daa997a48490c34e3a1a31.png)
細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合してペプチド鎖の伸長反応を阻害しタンパク質合成を抑制します。
マクロライド系薬は静菌的に作用します。
14員環の他、15員環、16員環、18員環の薬剤があります。
詳しい解説については日本薬学会のこちらをご覧ください。
②の選択肢
アミノグリコシド系抗菌薬であるアミカシンです。
アミノグリコシド系薬はアミノ糖又はアミノサイクリトールを含む配糖体抗生物質の総称です。
![アミカシン](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/08/3741932bcc94e213d877bbf5de9401f5.png)
細菌のリボソーム30S サブユニットの16SrRNA に結合してペプチド鎖の伸長反応を阻害しタンパク質合成を抑制します。
アミノグリコシド系薬は殺菌的に作用します。
詳しい解説については日本薬学会のこちらをご覧ください。
③の選択肢
カルバペネム系抗菌薬であるメロペネムです。
カルバペネム系薬はβラクタム系の一種でβラクタム環+二重結合が一つある5員環の構造を持ちます。
![](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/08/f687fe469b12764cb7b1028b721b880e.png)
細菌の細胞壁合成酵素 ペニシリン結合蛋白(PBP)に結合し、細胞壁合成を阻害します。
カルバペネム系薬は殺菌的に作用します。
詳しい解説については日経メディカルのこちらをご覧ください。
④の選択肢
セフェム系抗菌薬であるセファゾリンです。
セフェム系薬はβラクタム系の一種でβラクタム環+二重結合が一つある6員環の構造を持ちます。
![セファゾリン構造](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/08/18fb076d5adb92e7826c6cd1f0a7d9d9.png)
細菌の細胞壁合成酵素 ペニシリン結合蛋白(PBP)に結合し、細胞壁合成を阻害します。
セフェム系薬は殺菌的に作用します。
詳しい解説については日経メディカルのこちらをご覧ください。
⑤の選択肢
ペニシリン系抗菌薬であるアモキシシリンです
ペニシリン系薬はβラクタム系の一種でβラクタム環+Sを含む二重結合がない5員環の構造を持ちます。
![アモキシシリン構造](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/08/fc58cedded3f743a8315d1897950dbb5.png)
細菌の細胞壁合成酵素 ペニシリン結合蛋白(PBP)に結合し、細胞壁合成を阻害します。
ペニシリン系薬は殺菌的に作用します。
詳しい解説については日経メディカルのこちらをご覧ください。
また、βラクタム系についてはこちらの記事でも解説しています。
![](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/07/7b4663d3934bdeb9214e3077aedfb0be-160x160.jpg)
抗菌薬について、構造と系統、作用機序を合わせて把握できていると良いと思います。
今回取り上げたものはごく一部なので、別の機会に他の系統についても解説したいと思います。
私が実践していた勉強方法がこちらです。
![](https://www.road-to-pharmacist.online/wp-content/uploads/2022/04/aa9c52e62d0c61882f85350e3327c10a-160x160.jpg)
参考になる部分がありましたら是非実践してみていただけたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。